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ファロー四徴症の長期的課題:右室(流出路)・不整脈・心不全

これは自分のはじめてのOriginal articleです。Pubmedはこちら”

先天性心疾患の父となる丹羽先生に最初から最後までご指導いただいた論文です。

本当に懐かしいです。丹羽先生がいらっしゃらなかったら、自分は多分聖路加にはそこまで長くいなかったのではないかと思うぐらい本当に色々教えていただきました。身体診察に加えて、この論文における考え方などその分野の専門家であることの意義などが非常に勉強となりましたが、そのあたりはまた別の機会に。

当時は、成人先天性心疾患(学会のリンクはこちら)というものについて、なんとなく”よくわからない”と感じていました。ただひたすら”複雑であるという印象”です。ほとんどの非専門家にとって解剖学と生理学の議論が複雑すぎるのです。(といっても、ジェネラリストにとっては循環器の議論が複雑だったり、あくまで”情報の非対称性”を示しているだけですが)

自分にとっては、専門的知識は論文を通じて学習するということを最初に理解できた経験となりました。

例えばこの論文で取り上げているファロー四徴症であったら

  1. 右室流出路
  2. 不整脈
  3. それらに伴う心不全

というものが主な忘れてはならない領域であるということが理解できると思います。この論文では、ファロー四徴症の成人期の管理について学会の先生方にアンケート調査を実施しているのですが、その内容そのものが我々が知っておくべき内容だということです。一回の投稿で成人先天性心疾患のすべてを記載することは難しいと思いますが、少したまにはこのような投稿をしながら皆さんと一緒に勉強してゆけたらと思っています。

ひとまず、今回共有しておきたいのは、

  1. 前述したファロー四徴症の長期合併症の主たる3つと、
  2. 成人先天性心疾患においては、今では完治したということではなく特にComplex type(複雑型)とされる患者さんは特に臨床的に重要な視点において、定期的なFollow upが必要

ということです。

 

論文の在り方

もう一つ、この論文からは臨床経験から勉強すること以外に、やはりデータとして考えるということを最初に勉強させていただきました。もちろん、聖路加に来た1~2年後からQI委員会にも参加させていただいて大きなデータを扱うことの重要性など勉強しておりましたが、施設を超えて、こういう日本という国の中でどのように考えているのか?ということはこれまで考えたことがなかったので、そういう視点も勉強させていただいた非常にありがたい経験でした。

「目の前の患者を救うだけではなく、論文を書いて目に見えない患者を救え」とは言われるものの、

なかなかそういう機会には遭遇しないのが実情ですし、今回の論文はそこまで大それた内容ではありません。

個人的経験として、目に見えていない患者さん・医療者のデータを理解し、過去のデータとの比較を実践することで、

自分がまだ遭遇していない患者さんに対して想いを巡らせることができた

というのは臨床研究の醍醐味だと間違いなく感じました。

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