これは非常に初期のころの症例報告です。Pubmedは”こちら”
そもそも”myocardial bridge”という言葉すら聞いたことがない先生もいるかもしれません。日本語では”心筋架橋”と呼ばれることが多いかと思います。
冠動脈造影を施行したときに、冠動脈が一部狭く見えるのですが、収縮期と拡張期でペコペコしているわけです。
(通常は動きがあってもそこまで目立たない)こちらにReviewがありますのでご参考に。
この報告においては、実際にMyocardial bridgeに遭遇した時にこの狭い場所をどうするべきか?ということの悩みを表したものです。
STEMI(ST上昇型心筋梗塞)以外の場合には、なんでもかんでもステントを置くというのは微妙な時代です。
いくつか文献を検索していただいたら、お分かりになるかと思いますが、実際にBridgeがある場所にはステントは避けるのが基本です。
なぜかというと、ステントがFracture(破壊)されるからと考えられてます。まぁ、収縮の度にステントに負担がかかるのでイメージはわかりやすいですよね。
過去の報告からは、Bridgeの近位部に動脈硬化がよく認められるとされていますが、あくまで参考程度に知っておいてください。
当時から冠動脈CTがでてきて、自分としてもそのようなことを注意してみるようになった記憶があります。
前置きが長くなりましたが、実際にはこの報告の中では、OCT:光干渉断層像 (optical coherence tomography)とFractional flow reserve (FFR)を用いて
病理組織的・生理学的評価を行ってステントを置かず経過観察したという報告でした。
心臓の病態生理は非常に面白いので是非またどこかで触れてゆきたいと思います。