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高血圧学会のガイドライン公開1か月前!
さて、高血圧学会のガイドラインが1か月後に公開ということで各所でじわじわ話題となってきております。
7/25のプレスセミナーに合わせて以下の2つのView pointが公開されています。一つはガイドラインの12のポイント、もう一つは朝活です!
JSH2025 guidelines new viewpoints Yusuke Ohya & Atsushi Sakima
https://doi.org/10.1038/s41440-025-02296-8
https://doi.org/10.1038/s41440-025-02295-9
この中で
8. Renin-Angiotensin System Inhibitors: Based on recent systematic reviews, the preferential recommendation for renin-angiotensin system inhibitors in diabetes without proteinuria or microalbuminuria has been removed
こちらが一つ大きなトピックかと思います。ガイドラインでこの推奨をRemoveするという決定は重要だと思います。詳細は1か月待ちたいと思いますが、まずここはCKDガイドラインを是非是非参照するのもよいでしょう。
あ、すいません。是非高血圧学会のサブチャンネル
良塩くんの部屋(日本高血圧学会 公式キャラクター よしおくん)
https://www.youtube.com/@%E8%89%AF%E5%A1%A9%E3%81%8F%E3%82%93
のチャンネル登録よろしくお願いします
今回の内容もYoutubeではここでお話しております
https://youtu.be/0bINQFCw9eY
CKDに関わる話
CKDガイドとCKDガイドライン
この二つが公開されてそれぞれ2024,2023年に公開されています。
高血圧学会のガイドラインが8/29に公表されるということでこの機会に復習しておきましょう。
Key pointは CKDでは蛋白尿(アルブミン尿)測定を忘れるな! です。
CKDガイドラインのCQを確認しておきましょう
CQ 高血圧を伴う蛋白尿のない CKD 患者に ACE 阻害薬/ARBは推奨されるか?
→ 高血圧を伴う蛋白尿のない CKD 患者においては,DM 合併の有無にかかわらず,ACE
阻害薬/ARB が CVD イベントおよび腎予後を改善させるという十分なエビデンスはない
とされています。つまりなんでもRASというより重要なのは蛋白尿の有無だ!と
で、どのように蛋白尿を測定するか?
- 尿定性
- 尿蛋白定量
- 尿アルブミン定量
の3つです
実際にこの尿のたんぱくに基づく方がDMより先にくるってことですね。
以下はリソースガイド(最後にFAQで復習)
https://jsn.or.jp/medic/guideline/pdf/guide/viewer.html?file=001-294.pdf
CKDガイド
https://cdn.jsn.or.jp/medic/guideline/pdf/guide/viewer.html?file=1-178_v2.pdf
CKDの定義
基準項目
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定義
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期間
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① 腎障害の存在
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尿異常、画像診断、血液検査、病理診断で腎障害の存在が明らかであること。特に、0.15 g/gCr以上の蛋白尿(または30 mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要です。
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3か月を越えて持続
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② GFRの低下
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GFRが60 mL/分/1.73 m2未満であること。<br>(ただし、2歳未満の小児はGFRが同年齢の正常の50%未満の場合)
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3か月を越えて持続
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上記の①または②、あるいはその両方が、指定された期間持続する場合にCKDと診断されます。
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蛋白尿の評価方法
評価方法
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説明
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利点と注意点
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試験紙法
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尿中のタンパク質を定性的に検出する簡便な検査です。尿蛋白(1+)は30mg/dL、(2+)は100mg/dLに相当します。
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利点: 検査が簡便、費用対効果が高い、受診者への侵襲が小さいです。健診やスクリーニングに有用で、尿蛋白(±)でも微量アルブミン尿相当の蛋白尿を認め、心不全リスク上昇との関連が報告されています。<br>注意点: 濃縮尿や希釈尿の影響を強く受け、過大評価または過小評価となる可能性があります。
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尿蛋白定量
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尿中総タンパク質量を定量的に測定します(g/gCr)。
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利点: CKDの精密検査や治療効果の評価において定量的な結果が得られます。尿中アルブミン量との相関は、尿蛋白量が50 mg/gCr未満では低いものの、それ以上であれば感度91%、特異度87%で微量アルブミン尿を検出可能であり、スクリーニングや重症度判定、予後予測に有用です。<br>注意点: 国際的にはアルブミン尿が基本ですが、コストなどの問題から尿蛋白定量が行われることもあります。
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尿中アルブミン定量
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尿中のアルブミンを特異的に定量的に測定します(mg/gCr)。
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利点: 尿蛋白レベルが低い場合に尿蛋白定量より正確です。アルブミンは尿蛋白の主要成分であり、多くの腎疾患で微量な尿蛋白を鋭敏に検出できます。特に糖尿病性腎臓病の早期診断に優れています。国際的には原因疾患にかかわらずCKDにおける蛋白尿・アルブミン尿評価のゴールドスタンダードとされています。<br>注意点: 疾病特異性はありません。日本では保険診療上の適用が限定されており、「糖尿病又は糖尿病性早期腎症患者であって微量アルブミン尿を疑うもの(糖尿病性腎症第1期又は第2期のものに限る)」に対し、3か月に1回に限り算定できます。
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CKDステージ(Stage)
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糖尿病(DM)合併
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蛋白尿区分 A1 (<0.15 g/gCr または <30 mg/gCr)
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蛋白尿区分 A2, A3 (≥0.15 g/gCr または ≥30 mg/gCr)
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G1, G2
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130/80 mmHg未満(推奨)
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140/90 mmHg未満(推奨)
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130/80 mmHg未満(推奨)
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G3~G5
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130/80 mmHg未満(提案)
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140/90 mmHg未満(提案)<br>(130/80 mmHg未満への降圧は益と害のバランスを考慮し個別に判断)
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130/80 mmHg未満(提案)
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75歳以上の高齢者
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共通: CKD進行およびCVD発症抑制のため、150/90 mmHg未満をまず推奨。<br>脳、心臓、腎臓などの虚血症状、AKI(急性腎障害)、電解質異常、低血圧関連症状(立ちくらみ・めまい)などの有害事象がなく、忍容性があると判断されれば、140/90 mmHg未満を推奨します。
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CKDステージ(Stage)
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蛋白尿の有無
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第1選択薬
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第2選択薬(併用薬)
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75歳未満
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蛋白尿(+)<br>(尿蛋白/Cr比 0.15 g/gCr以上、または尿アルブミン/Cr比 30 mg/gCr以上)
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ACE阻害薬、ARB<br>(微量アルブミン尿あるいは蛋白尿のあるDM合併CKDや、DM非合併CKDでは腎保護効果の点で有効性・優位性が示されています。)
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利尿薬またはCa拮抗薬を考慮(第3選択薬として。
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蛋白尿(-)<br>(尿蛋白/Cr比 0.15 g/gCr未満、または尿アルブミン/Cr比 30 mg/gCr未満)
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ACE阻害薬、ARB、Ca拮抗薬、サイアザイド系利尿薬(体液貯留)から選択<br>(蛋白尿がないCKD患者では、ACE阻害薬/ARBの優位性を示す十分なエビデンスはありません。)
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ACE阻害薬とARBの併用を除く2剤または3剤を組み合わせます。
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75歳以上
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蛋白尿(+)
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ACE阻害薬、ARB
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利尿薬またはCa拮抗薬を考慮(第3選択薬として)。
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蛋白尿(-)
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ACE阻害薬、ARB、Ca拮抗薬、長時間作用型ループ利尿薬(体液貯留)から選択
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ACE阻害薬とARBの併用を除く2剤または3剤を組み合わせます。
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G4, G5
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共通
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ACE阻害薬、ARB
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Ca拮抗薬(CVDハイリスク)<br>(75歳以上のG4, G5でCa拮抗薬のみで降圧不十分な場合は、副作用に注意しACE阻害薬、ARB、利尿薬を併用)。
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早朝高血圧徹底制圧宣言 2025 https://www.jpnsh.jp/files/cms/816_1.pdf
「血圧朝活マークおよび血圧目標値イメージロゴ」について https://www.jpnsh.jp/asakatsulogo.html
「早朝高血圧徹底制圧宣言」および「キオスク血圧測定を奨励する声明」の発表について https://www.jpnsh.jp/topics/816.html
あらゆる場所での「キオスク血圧測定」を奨励する https://www.jpnsh.jp/files/cms/816_2.pdf
JSH2025 guidelines new viewpoints Yusuke Ohya & Atsushi Sakima
https://doi.org/10.1038/s41440-025-02296-8
Synchronizing science and society: JSH2025 Guidelines × “Asakatsu BP” action – Morning Blood Pressure 130 Campaign Kazuomi Kario & Yusuke Ohya
https://doi.org/10.1038/s41440-025-02295-9
こちらは来月発売
#高血圧 #高血圧管理・治療ガイドライン #朝活
Q. 高血圧患者で慢性腎臓病の場合は降圧薬をどのようにして決めますか?
A. まず蛋白尿を評価してその結果で第一選択薬が変わります。
Q. 蛋白尿の評価はどのようにしたらいいですか?
A. 尿検査で、定性、尿蛋白定量、尿アルブミン定量があります。また畜尿以外でもスポット尿(一回とるだけ)の検査などありますので担当の医師等にきいてみてください。